アピール文章

企業法務とは?

企業規模の大小に関係なく、その設立から解散(清算結了)に至るまで会社法に従って運営されることになります。企業は、すべての場面において様々な法律によって規制され、法の一般的枠組みの中で許された範囲内において経営を行わなければなりません。

このようなことから、企業法務とは企業経営に係わる法律上の業務の総称であるといえます。

司法書士は、従来の商法による規制的要素の強い社会から会社法の施行によって事後救済型の社会に変革しつつあるわが国において、予防法学的立場から、企業外部のものとして、企業法務の問題に対応できる有資格者です。

なぜならば、司法書士は登記簿で会社等の内容を公開することにより、その会社等と取引をしようとする人が思わぬ損害を被ることがないように、取引の安全と円滑化が図る商業登記制度に精通した専門家だからです。

今後も、司法書士が「商業登記」に精通した専門家であり続けるためには、その根底に「会社法」の知識の習得が必要であり、近畿司法書士会連合会においては、この分野において各司法書士会員の能力向上に努めています。

会社法の施行により、機関設計や役員任期等の様々な点が会社の自治に委ねられました。今後、各企業において、定款変更やそれに伴う登記手続きをすすめる必要が生じるものと思われます。

司法書士は企業経営される会社の立場にたった会社法対応についてご相談に対応できるよう今後も精進してまいります。

企業法務Q&A

司法書士と株主名簿管理人

Q1.当社は、株式の上場こそしていませんが、株主の数が多く、株主の入れ替わりも頻繁に行われている株式会社です。後日のトラブルを避けるため、信頼のおける第三者機関に株主の異動を管理してもらって、当社の株主と持ち株数をしっかりと把握して行きたいと考えています。
ついては、司法書士さんに当社の株主名簿管理人に就任していただきたいのですが、可能でしょうか?

可能です。

株主名簿管理人(会社法第123条)は、株式会社にかわって株主名簿の作成・備置・その他の株主名簿に関する事務を行います。株主名簿管理人の資格は、とくに法定されていません。また株式市場に上場すると株主の数は飛躍的に増加しますので、証券代行会社のような大会社の手助けが必要だと思われますが、少数の株主数であれば、会社法の専門家である司法書士は、その職責に相応しい者といえます。

株主名簿管理人を置くことは、対外的にはコーポレートガバナンスを認識した会社であるとの評価を得て、与信力アップに繋がるでしょう。上場を予定している株式会社にとっては、なおさらといえましょう。

なお、株主名簿管理人を設置する場合には、定款に株主名簿管理人を置く旨を定め、委託契約を結ぶことが必要となります。そして、株主名簿管理人の氏名・住所・営業所が登記事項となっています。(会社法第911条第3項⑩)

司法書士と企業買収

Q2. ある会社の株式をすべて譲り受けてその会社の運営をしようと考えていますが、専門家に立ち会ってもらい、後日問題が発生しないようにしたいのですが、司法書士さんにお願いできるでしょうか。

司法書士であればお手伝いできます。

いわゆる株式取得による企業買収の手続において重要なことは、何種類かの専門家とチームを組んで実行する必要があることと、簿外債務の有無をいかに正確に把握するかということです。したがって、少なくとも公認会計士または税理士とともにチームを組んで望むことが必要です。 司法書士は、会社法に精通する者として、一連の手続の適法性を担保するため、スケジュールの決定・株式譲渡契約書作成とその譲渡立会い・株式譲渡を承認する取締役会の運営・株主総会の招集通知の作成及び総会の運営、そして役員変更手続と法務全般に関与することでお手伝いすることができます。

Q3.総務部担当の者ですが、当会社の定時株主総会で役員変更・定款の一部変更等を予定しています。登記手続に至るまでの株主総会招集の準備には、どのようなことが必要でしょうか?

非公開会社で、かつ、取締役会設置会社における定時株主総会までの準備を記載すると以下のとおりです。

①計算書類についての監査役の監査

②取締役会での計算書類及び事業報告の承認及び定時株主総会の招集に関する事項の決定

③株主総会の1週間前までに株主への通知

上記を経て、実際に総会を開催することになります。これらは最低限必要な準備事項であり、会社の規模・定款の内容によりこれら以外に必要な事項もあります。

Q4.登記申請を依頼するため議事録を作成したいのですが、旧商法における議事録と会社法における議事録とには、記載内容等に違いや注意すべきことはありますか?

株主総会議事録の記載内容の変更点で主なものは、旧商法時は議事録に出席取締役及び議場の署名又は記名押印が求められていましたが、会社法ではそれらは必要とされていません。その変わりに出席役員等の氏名、議事録作成取締役の氏名が必要的記載事項となっています。

しかし、定款で株主総会議事録に出席取締役及び議長の署名又は記名押印が必要と定めている会社は、株主総会議事録にそれらの者が署名又は記名押印しなければなりません。

また、議事録の偽造・改竄防ぐ観点からも、株主総会議事録への署名又は記名押印をすることをお勧めいたします。また、法令内容に適合していない議事録であっても、総会決議自体が無効になるわけではありませんが、そのような議事録では登記申請を受け付けてもらえませんので、注意が必要です。詳しくは、お近くの司法書士におたずねください。

Q5.当会社の代表取締役が業務提携関係にある会社の役員に就任する予定です。両社間で取引を行うにあたり、注意すべきことがありますか?

利益相反行為に該当する場合がありますので、その場合には事前に会社のしかるべき機関の承認を得なければなりません。

本件のように、同一人物がA、B2社の取締役である場合には、通常A、B間の商取引、金銭の貸借等は、利益相反行為に該当します。この場合には、取締役会設置会社では取締役会の、非取締役会設置会社では株主総会の承認が必要になります。

また、この承認を得るための取締役会決議では、当事者である取締役は特別利害関係人となり、決議に参加することができないので注意が必要です。詳しくは、お近くの司法書士におたずねください。

Q6.私は、現在ある会社の取締役ですが、業績が悪くできれば辞任したいと思うのですが、いつでも辞任することができるのでしょうか?

いつでも辞任できます。

取締役と会社の関係は、委任関係にあると解されていますので、取締役はいつでも辞任することができます。辞任の効力は、会社に辞任の意思表示をし、それが会社に到達した時(例えば、辞任届を提出した時)に効力が生じます。

しかし、会社の登記をそのままにしておくと、第三者には辞任したことが分からないため、取締役としての責任を追及されることになります。従って、取締役を辞任した後は、速やかに会社に対し、取締役の退任登記をしてもらうよう請求しなければなりません。詳しくは、お近くの司法書士におたずねください。

Q7.私は、このたび、A社の代表取締役に就任しました。会社の金融機関からの借入れについて前代表取締役が個人保証していたものは、私が引き継ぐ義務があるのでしょうか?

引き継ぐ必要はありませんが、引き継がざるを得ないケースもあります。

中小企業では、会社の債務を代表取締役が個人保証していることがほとんどです。よって、会社が倒産した際に代表取締役の個人財産までもが会社の借金の返済に充てられることになり、大きな社会問題となっています。代表取締役の交代にあたり、金融機関から旧代表取締役の個人保証の引き継ぎを求められた場合、法律上引き継ぐ義務はないのですが、連帯保証をしないと一括返済を要求されることもあり、個人保証を引き継がざるを得ない場合が多いといえるでしょう。

Q8.当会社の名義の不動産を当会社の代表取締役に売却する予定ですが、注意すべき点がありますか?

会社の不動産を当該会社の取締役に売却する行為は利益相反行為となります。

利益相反行為をするにあたっては、事前に会社の機関(Q4.参照)で承認を得る必要があり、当該議事録は、不動産登記を申請する際の添付書面となります。 利益相反行為をするにあたっては、事前に会社の機関(Q4.参照)で承認を得る必要があり、当該議事録は、不動産登記を申請する際の添付書面となります。

Q9.会社を辞めたいのですが、どうしたらよいのですか?

会社を辞める場合の手続ですが、まず、株主総会を開催して解散の決議を行い、清算人を選任します。

その清算人が、会社の債権債務の調査を行い、取り立てるべき債権を取り立て、弁済すべき債務の弁済(清算事務)を行います。そして、清算人の清算事務が終了したら、清算人は清算事務報告を作成し、株主総会の承認を受けなければなりません。この承認を受けて、ようやく会社が消滅することになります。また、これら以外にも許認可を得ている場合には役所・税務署等への届出が必要となります。

Q10.取引先が売掛金を支払ってくれません。この売掛金の回収を司法書士にお願いすることはできますか?

一定研修を経て、考査に合格した司法書士(認定司法書士)であれば、簡易裁判所の管轄である140万円以内の債権については会社の代理人として訴訟、訴外での和解等、また執行手続(ただし、少額債権執行に限る。)も行うことができます。

また、140万円を超える債権については、代理人として活動することはできませんが、訴状の作成代理を通じてご協力することができます。